祖母

柴田トヨさんの詩集を読んで、祖母を思い出した。父方の祖母。私が13歳のときに他界した。母が働いていたせいもあり、家のことを全てやってくれていた。父方の祖父は、会ったことがない。父が幼い頃、祖父と祖母は離婚している。祖母は明治37年生まれ。北海道出身の12人兄弟の長女である。多分、大正時代か昭和の初期に東京へ出て来たのだと思う。この時代の離婚である、女手一つで父を育て上げた祖母の苦労を考えると頭が下がる。ただ、祖母には手に技術を持っていた。祖母は洋裁の先生で身を立てた。東京上野の近辺の下町に東京大空襲の直前まで住んでいた。大空襲の前年の12月に世田谷へ避難(引っ越し)したため難を逃れた。
その祖母の口癖、「おばあちゃん、がんばらなくちゃ」ときどき思い出して、こみ上げてくるものを堪える。もっと生きていて欲しかった。もっと話を聴かせて欲しかった。